開催概要

概要


山、森、河、林、田と畑。浜と海。

天と地の恵みを暮らしの中で実感できていたとき、
人と自然の間には神が居ました。

裏山や川辺、浜辺で薪(たきぎ)を得、燃料としていた時代、
囲炉裏の火はそのままそこに生きるひとの暮らし全体の「魂(ひ)」でもありました。
かまどはその土地の恵みを受け取る火のうつわであり、神棚にも折々の火が灯され祭られていました。
風雨と付き合う生活には土地に根ざした物語がありました。

しかしながら、いまや多くの家にあった「火」は消え、囲炉裏もたたまれました。

火の在り処は火力発電所の中、自動車の中、ガス管の中、
より大きなものと繋がるための仕組みの中に移り、
家族や村という顔の見える範囲でまとまっていた人の生活は、より広く、
大きなものへ接続されるようになり、茶呑み話にテレビやインターネットが介在するようになりました。

稲作をはじめとした農業も資本と効率を求めて機械化され、
同時に生活とともにあった手業の技術もだんだんと息をひそめていきます。

わたしたちの「暮らし」の骨格は数十年の間にも大きく様変わりました。

皆に望まれて変わったのか?
知らぬ間に変わってしまったのか?

かつての土地と対話し天を仰ぐような暮らしを知る人は少なくなり、
若い世代はそのような暮らし方があったことさえ知りません。

わたしたちはいま、過去から何を引き継ぎ、何を活かしていけば良いのでしょうか?
そこにある土地と深く関わる生活を目の当たりにして来た方々を招き、
会場参加者と共に考える座談の場が出来ればと思います。
いろり座談会

6/28(日) 13:00-16:00



茅葺きの古民家で囲炉裏の火を囲みながら、過去と現代の連続の中の「暮らし方」を問う座談会シリーズ第2回弾。今回は日本各地で土地と深く関わる生活を目の当たりにしてきた座談者たちを招き、稲作をはじめ、自然と向き合う中、独自の生活環境や知恵を築いてきた日本人の暮らしとは何だったかをとともに探ります。戦前戦後と数十年の間に急速に変化したエネルギーや生活の中の技術など、私たちの変化しつづける「暮らしの骨格」をいま一度見つめるシンポジウム企画です。

開催場所:旧庄屋佐藤家
〒953-0076 新潟県新潟市西蒲区福井2908
地図

参加費 ¥500(資料代込)
定員100名 当日先着順
あらかじめご連絡いただければお席を確保できます。


五十嵐稔

新潟県民具学会会長



1931年三条市生まれ、同市在住。県立三条実業高等学校卒、三条市役所勤務、退職時三条市立図書館長。現在、日本民具学会評議員、古々路(ここじ)の会代表。『三条市史』『新津市史』ほか多数の新潟県内の市町村史の調査・執筆を手掛ける。著書に『民具 採訪見聞記』(東北出版企画/2013)など。『越後の「ワラ民具」生活文化誌』を近刊予定。

斉藤文夫

郷土研究家
佐藤家囲炉裏の火焚き爺さん


1933年新潟市西蒲区(旧巻町)福井生まれ。NPO福井旧庄屋佐藤家保存会理事。元巻郷土資料館長の石山与五栄門氏や写真家・熊谷元一氏との出会いを機に、郷土の風景、暮らしなどドキュメント志向の写真を撮り続ける。「のぞきからくり」ほか、地域資源の発掘や文化・研究活動に尽力。著書に『角海浜物語-消えた村の記録-』(和納の窓叢書)、『蒲原 昭和の記憶-カメラが捉えた昭和の残像-』など。

宮崎清

千葉大学名誉教授
アジアデザイン文化学会総会長
『図説 藁の文化』著者

1943年甲府市生まれ。ワラ文化の研究で知られる。1965年千葉大学工学部工業意匠学科卒業。1967年千葉大学大学院工学研究科修了。工学博士(東京大学)。千葉大学教授・評議員・工学部長、国立大学法人千葉大学理事・ 副学長、放送大学学園特任教授・千葉学習センター長などを歴任。人間生活における生活用具のありようの研究、フィールドサーベイを中心に、地域社会の有する自然的・人工的・生活技術的資源などに基づく内発的地域開発計画の立案ならびにその方法論の検討、伝統的工芸品の意匠解析などを研究している。また中国・台湾・韓国とも関わりが深く、生活文化、工芸、デザイン、地域振興など幅広い分野での研究・指導を現地にて行ってきた。

結城登美雄

民俗研究家
「地元学」提唱者

1945年旧満州(中国東北部)生まれ。仙台で広告会社経営に携わったのち、15年にわたり東北の農山漁村をフィールドワークで訪ねながら、住民を主体にした地域づくりの手法「地元学」を提唱。宮城県宮崎町(現加美町)の「食の文化祭」アドバイザー、旧鳴子町「鳴子の米プロジェクト」総合プロデューサーをつとめた。著書に『山に暮らす海に生きる-東北むら紀行』(無明舎出版/1998)、『地元学からの出発』(農文協/2009)など。

山上力

夏井の稲作農家


1953年西蒲区(旧岩室村)夏井生まれ。美しい日本のむら景観百選の一つ、「夏井のはさ木」で知られる故郷の夏井地区で、地域ぐるみで「はさ木」の景観を守りながら、家業の稲作を続ける。30代で本格的に稲作を始め、現在、自然農に近い形での米づくり、畑作を行いながら、自身の田んぼ開放を通じ、地元岩室小学校の5・6年生に向けた稲作体験の場づくりなどにも精力的に取り組む。






敬称略

聞き手 桾沢厚子(Bricole)

お問い合わせ

info@bricole.jp
担当:「桾沢(ぐみざわ)」
主催 Bricole
ロゴデザイン ノッポ
スチール写真 Tango

にいがた稲作文化ドキュメンタリー&シンポジウム2015『暮らしの骨格』は
新潟市 水と土の芸術祭 2015 市民プロジェクト助成認定事業です。



TOP